有難いお誘いを受け、大竹しのぶさん主演の「ピアフ」観劇の機会を得ました。ところは日比谷、シアタークリエ。エディット・ピアフは、フランスが生み、フランスが最も愛したシャンソンの女王。殺人容疑、交通事故、麻薬中毒に男性遍歴。その人生は激烈でした。「私はまもなく死ぬでしょう。」の言葉ではじまる自伝(『わが愛の讃歌』エディット・ピアフ自伝:中井多津夫訳/晶文社)を読んだのは、1995年の夏でした。12年後の2007年・秋。映画『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』が公開されました。主演のマリオン・コティヤールは、同作で第80回アカデミー賞の主演女優賞を獲得。壮絶なピアフの人生を演じきった彼女の圧巻の演技が、今も忘れられません。時を経て2018年・秋。目の前で観た、大竹さんのピアフは、生きていました。身勝手で寂しがり屋で、チャーミングで下品な女。そしてひとたび歌えば、その声は、聴く者の心を鷲掴みにし、背中に羽根をくれるのです。女優というのは、かくも深く恐ろしく、そして偉大な職業なのかと思い知りながら、ピアフの愛に魅せられた3時間でした。(次回は11月21日頃に😊)